殺人鬼、御園芽衣子 ⑥
- 2019/05/27 22:59
次の日。朝食を取っているとニュース番組でこんな情報が流れてきた。
『昨夜未明、鎌倉市七里ヶ浜××にて殺人事件が発生しました。死体は前日未明に殺されたものとみられています。警察は対策本部を建てていると共に、此度の事件は連続殺人鬼による殺人であると思われます』
「怖いわねえ……。しかもこの辺りじゃないの。いっちゃんも気をつけてね」
そう言って、ささくさとご飯を食べ終わるとキッチンに皿を運んでいく。
僕も残っていたパンとココアを飲み干すと、そのままキッチンに食べ終えた皿を持っていった。
※
登校中。僕はずっと昨日のことを考えていた。昨日のことは何のことだ、って? そんんなこと言わずとも分かるはずだ。昨日出会った殺人鬼――御園芽衣子のことだった。御園芽衣子、名前だけ聞けば何処かのお嬢様のような名前のように聞こえるけれど、それは全くのデタラメ。中身を見てみると、猟奇殺人を繰り返す殺人鬼であるということだ。
そんな彼女に出会って、僕は殺されていないのだ。
一度も、と言ってしまうとまた出会ってしまうのかもしれないし。
「……いっくん、おはよっ!」
そう言ってきたのはあずさだった。
あずさは僕の肩をぱんと叩くと、そのまま僕の右隣に歩き始めた。
「どうしたの? あずさ」
「「いっくんこそ、体調が悪そうだけれど、大丈夫? あ。もしかして、天体観測でUFOが見つからないから困っているんでしょ? 私もそうなんだよー。何で、見つからないのかなあ。少しはUFO側も配慮して欲しいって思うけれどね!」
UFO側の配慮って何だよ。
僕はそう突っ込もうとしたが、それ以上は敢えて言わないことにした。
「……今日も天体観測かな?」
「そうだと思うよ。そういえば、登校日はいつだったかな?」
「登校日?」
「私達の学校は夏休み中も、登校日があるんだよ。授業の日数の都合とか言っているけれど、何処までほんとうかどうか分からないけれどね! ……うーんと、今日は何日だっけ?」
「今日は十四日だな」
「それじゃ、明後日だね。毎年八月十六日は登校日なんだよ。その日だけね。四十日間ずっと夏休みじゃ、生徒もだれると思ったんじゃないかな? 私としてはそんなことは有り得ないから、出来ることならなくして欲しい行事の一つなんだけれどね」
でもそれは無くすことが出来なさそうだな。
そんなことを思いながら、僕達は学校に進む坂を歩いていく。
並んで二人で、歩いていく。
※
天体観測が出来る時間までは、各自自由。
そう言われてしまえば、僕達には一言言葉が残ってしまう。
――だったら、夕方に集合で良いのでは? と。
でもそうしないときっと警察に引っかかるんだろうな。そもそも警察の捜査が及んでいる地域だというのに、夜になっても学校に居ることが出来る時点で間違っている気がする訳なのだけれど。
「何か、気になる?」
きっと理由はこのメイド服大好き給仕大好きな変態先生が居るからだ。きっとそうだ。そうに違いなかった。