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番外編 六月二十四日②

  • 2019/06/24 21:17

 という訳で六月二十四日――僕はあずさとアリスとともに近所のスーパーに買い出しに行くのだった。電子レンジや冷蔵庫はない訳だから、当日に購入しないと問題がある、という訳。まあ、お金は全員で出して一万円。それだけあればそれなりのパーティを行うことは出来るだろう。
「……こういうのは女性陣がやるべきだと思うのだけれど」
「何言っているの。室内の飾り付けは二人で充分って言うから暇だったいっくんを呼び出したんじゃない。私達にもっと感謝して欲しいぐらいだと思う訳だけれど」
「……そう。私達にもっと感謝するべき」
 あずさとアリスはお互いにそう言った。
 何というか、ほんとうにお似合いだな二人とも。
「えーと、購入するのは五人分の弁当とジュース、それにつまめるお菓子……。これじゃ、パーティというより夕食の延長線上みたいだな」
「はいはい、そんなことは言わない。私達はやるべきことをやるだけなんだから」
「そういうものか?」
「そういうものよ。ささっ、急いでやっちゃいましょう。私達にはやるべきことをやるだけなんだから」
 そう言われちゃ、仕方がない。
 僕はそれに従って――五人分の弁当、それにジュース、つまめるお菓子、紙コップを購入するのだった。

   ※

 図書室副室に戻ると、折り紙で色とりどりなリングが教室の至る所についていた。
「……これを二人だけでやったんですか?」
 何というか、もう一人ぐらい居ても良かったような気がするけれど。
「そうだ! 僕達二人でやるには充分時間がかかったが、何とか間に合ったな!」
「……昨日からやっていたんだから、充分間に合う計算だったんじゃなかったのか?」
「それもそうだな! ……ところで、弁当は買ってきたのか?」
「はい。……と言っても唐揚げ弁当しか売っていなかったんですけれど」
「時間も時間だからなあ……、致し方あるまい。まあ、こういうのは雰囲気で楽しむものだ!」
「ところで、この後UFOの観測をする訳ですけれど」
「うん?」
「屋上の許可って貰ったんですか?」
「……貰える訳がないだろう? この時期に」
 ということは、無許可で行うということか!?
 先生に見つかったらなんと言われるか……うう、考えるだけでも恐ろしい。
「まあ、何かあったら僕に全責任を押しつければ良い! とにかく、パーティを始めようじゃないか」
 そう言われてしまったので。
 僕達は図書室副室の唯一のテーブルに弁当、ジュース(オレンジジュースとリンゴジュース、それにお茶の三種類)、お菓子、紙コップを置いていく。
「おっ、言わなかったけれど紙コップも買ってきてくれたのか。手際が良いねえ、いっくんは」
「……だって紙コップなんて準備していないでしょう」
「そりゃその通りだ」
 そうして。
 僕達はパーティを粛々と執り行うのであった。

 

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