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生徒会選挙 ②

  • 2019/05/23 00:01

「は、はあ!? お前突然何を言い出すかと思えば……職権濫用じゃねえか!!」
「職権濫用でも何でも良いんです! とにかく、貴方に生徒会長に立候補して貰わなくては困るんです!」
「困る、って……。まさか、対抗馬が居ないとか?」
 ぎくっ。
 何かそんな効果音が聞こえたような気がした。
「ま、まさかほんとうに対抗馬が居ないのか……?」
「う、うっさいわね!! 別に対抗馬が居ないから貴方にお願いしに来たとかそういう訳じゃないし!!」
「いや、はっきりと言ってしまっているのだが。あとここは図書室だからもう少し声のトーン下げた方が良いぞ、仮にもお前生徒会副会長だろ?」
「とにかく!!」
 びしっ、と部長に指さす金山さん。
「貴方が立候補しないなら、この部活動は即刻解散して貰います! 部活動として、学校外に認められた活動をしている訳でもないし。はっきり言ってこの部活動は無駄なんですから!!」
 そう言って。
 逃げ帰るように、金山さんは去って行くのだった。

   ※

「部長、どうしますか?」
「うーん、生徒会長に立候補するのは嫌だけれど、部活動を潰されるのも嫌だしなあ」
「立候補しても、選挙で負ければ良いんじゃないですか?」
 言った僕の言葉に、全員が溜息を吐く。
 僕、何か悪いこと言っちゃいました?
「分かっていないようだから言っておくけれど……、部長は二年生で一番の成績なのよ……」
「え?」
「だから、仮に立候補してしまったら学力の差で投票されてしまう可能性が充分に高いだろうな。仮に変な施策を公言したところで、それを無視してでも投票する人は居ると思う。人間って、それくらい単純なものだからな」
 そんな馬鹿な……。
 ってことは、選択肢は二つに一つしかないじゃないか。
「でも、いずれにせよ、この部活動を継続させるためには、部長が立候補するしか道はないんですよね?」
「そうなっちゃうんだよなあ……。うーん、そういうのが面倒だから敢えて生徒会から距離を置いてきたはずだったのに、どうしてこうなったのやら」
 帰宅時刻を報せるチャイムが鳴ったのは、ちょうどそのときだった。
「……取り敢えず、これは持ち帰りの課題にすることとしよう。君たちの歓迎会もいつかはやらないといけないから、予定を空けておいてくれよ。あ、いつやるかは未だ決まっていないから、明日にでも決めようか」
 そう言ってそそくさと準備を進める部長。池下さんはカメラを磨いていた。外に持ち歩いていたカメラが汚れてしまったのが、それ程気に入らなかったらしい。
 そういえば、結局昨日のUFOの写真を見られていないような気がする。
「あ、部長。昨日のUFOの写真は結局明日にしますか?」
「そうなるな。今日はこれ以上部活動を進めることは出来ないし……。だから明日確認することにしよう。最悪、あいつにはその成果を見せることも考えている訳だが……」
 そう言いながら、部屋を出て行く部長。
 それを見た僕達もまた大急ぎで準備をして、外を出て行くのだった。
 

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