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ブラックボックス ④

  • 2019/06/17 20:27

「はっきり言ってしまえば、『ブラックボックス』に居る人間の状況は最悪だった。当然と言えば当然だろう。極限と言える状況に永遠に放り込まれたんだ。それもあの年齢で。我々自衛隊が『研究』を重ねた結果とも言えるのだが……」
「研究? それってつまり、人体実験ということか……?」
 人体実験なんて、まるで漫画やアニメの世界だ。
 いや、ライトノベルの世界とでも言えば良いのか?
「自衛隊が『研究』を重ねた結果、『北』に対する脅威から国民を守るためには、『ブラックボックス』を使うしか道がなかった。『ブラックボックス』は、UFO――空飛ぶ円盤型の飛行物体だ。そして、それを使うには思春期の少女に限られている。理由は開発した研究者にしか分からないがね。もうその研究者も、『ブラックボックス』の運用に否定したため、『処分』された」
「処分、って……つまり殺したってことですか」
「まあ、その通りだな。残念ながら、君の考える自衛隊にも、暗部が存在するのだよ」
「暗部……。自衛隊にもそのような存在があるって言うんですか」
「だから、あると言っただろうが。何度も言わせるんじゃねえ」
 殴りそうになったところを、兵長が止める。
「やめろ、貴重な人材だ。……もっとも、『参考人』程度にしかならないがね」
「……ちっ。分かりましたよ。兵長に言われちゃ、止めざるを得ませんね。良かったな、いっくん。兵長のおかげで助かったんだぞ、少しは感謝しておけよ」
「……、」
 素直に、ありがとうございます、と言えば良かったのだろうか。
 答えは分からない。
「話を続けようか。……世界の情勢は大きく変わりつつある。そして、兵器の進化も始まっている。やがて、我々はある兵器を開発するに至った」
「それが……『ブラックボックス』だと?」
「その通り。話が分かってきたようで何よりだよ」
 池下さんは僕の言うことを聞いて、少しほっとした様子だった。
 何故そんな様子なのかは、分からないけれど。
 もしかして、向こうの思う通りに発言出来たから、安心しているのかな?
「『ブラックボックス』は日本とアメリカの共同開発によって開発された、空飛ぶ円盤型の飛行物体だよ。飛行物体というよりかは、戦闘機と言った方が良いかもしれないがね。その『空飛ぶ円盤』に見立てることには理由があった。何故か分かるかな?」
「……敢えて発見させることで、UFOだと思わせることで、相手を惑わせた……?」
「その通り。話が早くて助かるよ、君は」
「……でも、納得出来ない。どうしてそのメンバーがあずさとアリスなんですか」
「あずさとアリス……そう、ナンバーワンとナンバーツーが『対象』だったのは、彼女達の遺伝子が『ブラックボックス』に秘められたブラックボックスの遺伝子情報と合致したからだよ。正確には合致させた、と言った方が正しいかもしれないがね」
「?」
「六月二十四日は、何の日か知っているかな?」
 知っている。その日は、宇宙研究部が集まってパーティーを開いたんだ。
 確か、その日は……。
「UFOの日……」
「そうだ。UFOの日だ。空飛ぶ円盤を初めて発見したという事件、ケネス・アーノルド事件が起きた日だ。しかしながら……その日は、それだけが起きた訳じゃない」
「?」
「その日は、米軍によってUFOが回収された日だ。それから米軍は無人のUFOの開発に成功し、様々な場所で飛行実験を重ねた。様々な場所でUFOが観測されたのは、それが理由だ。裏を返せば、ケネス・アーノルド事件を最後にほんとうの意味での未確認飛行物体は見つかっていない。運の良いことか、悪いことかは知らないがね」
「正確には、ケネス・アーノルド事件の後、ロズウェル事件が起きた。ロズウェル事件は米軍によりUFOが回収された歴史的な事件であり、本来の意味での未確認飛行物体が観測されなくなったのはそれ以降だ。我々の星を諦めたのかどうかは定かではないがね」
 池下さんの言葉を兵長が補足する。
 そして、さらに池下さんの話は続けられる。
 

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