クスノキ祭 ㉒
- 2019/06/10 06:04
「では問題です! アニメ『ポケットモンスター』で、リザードンとの別れのとき、サトシはどんな台詞を口にしたでしょうか?」
ピンポーン!
「おおっと、栄・八事ペア早かった! 答えをどうぞ!」
「『弱いリザードンなんて、いらない』!」
ピンポンピンポーン!
「正解です! 正解です! 栄・八事ペアに一ポイント入ります!」
「……成程、意外と高レベルな問題が出されるんだな」
もっと地元に着目した問題が出されると思っていた。
まさかポケモンから出されるとは思いもしなかった。
「……ねえねえ、私が知っている問題、出るかな?」
「うーん、どうだろ。この様子だと出そうにはないけれど」
「そうかあ……」
あずさは少し残念そうだ。
というか、そこまで残念がることでもないだろうに。
「……ねえ、意外とつまらない」
ばっさりと評価を下すアリス。
仕方ないと言えばそれまでだけれどねえ……。
「ではでは次の問題です! 鎌倉から藤沢間を走っている電車と言えば、江ノ電ですが……」
ごくり。
思わず緊張している様子に、息を呑んでしまう。
「片瀬江ノ島駅に通っている電車の名前は何でしょうか!」
ピンポーン!
「おっと、栄・八事ペア早かった! これで決めれば予選突破になりますが、どうなるでしょうか……?」
「小田急江ノ島線!」
ピンポンピンポーン!
「正解! 正解です! 栄・八事ペア、一抜けが決まりました!」
パチパチ、と大きな拍手が沸き起こる。
僕達も気づけば自然と拍手をしてしまっていた。
それにしてもまさか決勝まで進むなんて思っちゃいなかったからだ。
壇上から降りていく栄くんと八事さんを見て、僕はそちらへ向かった。
しかしながら、流石に舞台裏まで行くことは出来ず、僕達は少しの時間待つことを要されてしまったのだけれど。
「凄かったじゃないか、決勝進出おめでとう」
その言葉が口に出せたのは、それから二十分後のこと。
時刻もすっかり昼休みに入ってしまったタイミングでの出来事だった。
「あはは。ありがとう。……ところで、三人とも、ご飯にしないかい? 八事さんも午後一でシフトが入っているようでさ。ご飯を食べるなら今しかないと思っているんだ。勿論、この時間じゃ混むのが知れているけれど……」
「勿論さ。何処で食べようか」
「実はオススメの食事処を調べておいたんだ」
流石は新聞部。抜け目がない。
それじゃ、それに従うことにしようか。そう思って僕達は一路栄くんオススメの食事処へと向かうことにするのだった。